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配当を再投資する効力(投資信託のメリット)

2024年からNISA制度が改正されることになり、運用資産の見直しをかねて投資商品(投資信託)について少し調べました。前回の記事では、日経225およびTOPIXに連動する投資信託について調べ、比較をしてみました。

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今回の記事では、日経225を例にとり、インデックス連動型ファンドとインデックスそのものの値動きの違いについて調べてみます。

(長期の積み立て投資に適した)投資信託では(多くの場合)投資している株式会社から決算ごとに分配される配当金は、投資信託の基準価額に反映されます。

個別株式を保有している場合であっても受け取った配当金を元手に再び投資に回せば良いわけですが、個別株式には最低単元数が設定されており、よほどの株数をもっていない限りそうもいきません。

しかし投資信託の場合には、沢山の人数が資金を出し合っているだけに、再投資できる(それも預けている限り自動的にやってもらえる)ことになります。配当金を再投資するかどうかの違いがもたらす効果がどれほどのものなのかを示すために、インデックスそのものの値とそれに連動する投資信託の基準価額とを比較してみます。



比較に用いたインデックスと投資信託

本記事の内容は日経225指数、および以下の投資信託の過去データに基づいています。

連動指数 投資信託銘柄 信託報酬
日経225 たわらノーロード日経225 0.143%

上記投資信託の基本方針は「日経平均株価(225種・東証)の動きに連動する投資成果をめざした運用を行います。」(交付目論見書から引用)というもので、実際、日々の値動きは日経225インデックスにほぼ一致します。



インデックス&基準価額の推移(短期)

直近半年間(2023年2月初頭から7月末)の変動(日足)および損益率は以下の通りです:

2023年2月1日 2023年7月28日 損益率
インデックス 27,347円 32,759円 +19.8%
投資信託 15,651円 18,948円 +21.1%

グラフは左側がインデックスの値、右側が投資信託のインデックスの基準価額の時系列データを図示したものです。インデックスに連動することを目指す投資信託なだけあって、半年間の乖離率も1.2~1.3%程度のズレで収まっており、価格推移をみてもその再現性の高さがわかります。(じつは、投資信託が上振れている主な要因こそが配当です。)

インデックス&基準価額の推移(中期)

少し期間を長くして、2015年12月から2023年7月までの変動(週足)でみてみます:

2015年12月 2023年7月 損益率
インデックス 19,033円 32,759円 +72.1%
投資信託 9,670円 18,948円 +96.0%

7年半ほどの期間でみても、一見して値動きが一致していることがわかります。数値で詳しくみてみると、運用期間が長くなったことで配当金の再投資の効果が如実に現れ、損益率が20%以上(!!!)かさ上げされていることがわかります。

この20%もの差は以下のようにしてわかります。上でみたように、半年で約1.3%の上振れがありました。7年半という期間は(半年)×15なので

 \qquad 1.013^{15}=1.2113\dots

より、累積で20%程度の上振れがあるのは妥当な結果であることがわかります。




まとめ

インデックス連動型の投資信託は、対象のインデックスと日々の値動きがほぼ一致します。このことから、将来的な値上がり率は、インデックスそのものの値上がり率と一致してしまうのではないか?と思いがちです。しかし、そうはならないことを上記の結果は示しています。

極端な場合として、明日からインデックスの値がまったく変動しなかったとしましょう。仮にそうなったとしても、保有株式には配当がありますから、それを基準価額に反映する投資信託は(各株式会社から配当が出続ける限り)基準価額が上がり続けることになります。

短期間の運用や、日々の値動きのなかではなかなか実感しづらいですが、配当金が再投資される効果、そして何より長期間投資する効果の重要性がわかるのではないでしょうか?





キーワード:投資、日経平均、資産運用

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