住んでいる場所が離れていたり、時間的な余裕がなかったりして、なかなか美術館を訪れることが難しい方も多いと思います(とくに本記事の執筆時にはCOVID-19が流行しており、人が密集するような状況や交通機関を利用した移動をなるべく控えることが推奨されていて、美術館に行きたくても行けないという方もいるのではないでしょうか)。
そこで本記事では、美術館に行きたいけど行けないという方への手助けを目的に、国内美術館の主要収蔵品の解説ページへのリンク集を作成してみました。国立の博物館/美術館に加え、全国各地の51の美術館を選び出しました(今回は、ネット上の解説ページが充実している点を考慮して選んでいます)。
各美術館が責任をもってまとめているページばかりなので、信頼して楽しむことができると思います。やはり実物をご自身の目で見てみたい!と思ったら、ぜひ美術館に行ってみてください。
国立博物館/美術館
東京国立博物館
東京国立博物館(トーハク)は、明治5年(1872年)に創設された日本最古の博物館です。本館、表慶館、 東洋館、平成館、法隆寺宝物館の5つの展示館と資料館その他の施設からなり、2019年3月31日時点で、国宝89件、重要文化財644件を含む収蔵品の総数は119,064件、これとは別に、国宝55件、重要文化財253件を含む総数3,130件の寄託品を収蔵しています。
日本美術(本館)
本館(日本ギャラリー)2階では、縄文時代から江戸時代までの「日本美術の流れ」が時代を追って展示されています。国宝や重要文化財などの名品で日本美術史をたどることができます。1階では彫刻、陶磁、刀剣など、特定の分野をとりあげた分野別展示と企画展示があります。
日本の考古(平成館)
考古展示室では、考古遺物から石器時代から近代までの日本の歴史をたどることができます。縄文時代の土偶や、弥生時代の銅鐸、古墳時代の埴輪など教科書でみたことのあるようなものばかりです。
アジアギャラリー(東洋館)
東洋館(アジアギャラリー)では、「東洋美術をめぐる旅」をコンセプトに、中国、朝鮮半島、東南アジア、西域、インド、エジプトなどアジア各地の美術品、工芸品、考古遺物が展示されています。
法隆寺宝物館
明治11年(1878年)に奈良・法隆寺から皇室に献納され、戦後になって国に移管された宝物300件あまりが収蔵・展示されています。これらの文化財は、正倉院宝物に比肩する古代美術のコレクションですが、8世紀のものが中心の正倉院宝物に対し、法隆寺宝物は一時代古い7世紀のものを数多く含んでいます。
黒田記念館
国立近代美術館
東京近郊の美術館
三菱一号館美術館
三菱一号館美術館は、2010年春に東京・丸の内に開館しました。東京都千代田区丸の内2丁目6−2。赤煉瓦の建物は、三菱が1894年に建設した「三菱一号館」(ジョサイア・コンドル設計)を復元したものです。コレクションは、建物と同時代の19世紀末西洋美術を中心に、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック、オディロン・ルドン、フェリックス・ヴァロットン作品等を収蔵しています。
【代表的な収蔵品】
- アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックのグラフィック作品群
- 版画集『レスタンプ・オリジナル』
- オディロン・ルドン《グラン・ブーケ(大きな花束)》
- フェリックス・ヴァロットン《公園、夕暮れ》
三井記念美術館
三井記念美術館は、平成17年10月に開設された新しい美術館です。東京都中央区日本橋室町2丁目1−1 三井本館 7階。三井記念美術館が置かれる三井本館の建物は、昭和初期の日本を代表する重厚な洋風建築として、国の重要文化財に指定されています。収蔵されている美術工芸品は、茶道具を中心に、絵画、書跡、刀剣、能面、能装束、調度品など多岐にわたり、現在約4000点、切手類が約13万点に及んでおり、このうち国宝が6点、重要文化財が75点(本館所管1点を含む)、重要美術品が4点を数えます。
【代表的な収蔵品】(いずれも国宝)
- 志野茶碗 銘卯花墻
- 円山応挙《雪松図屏風》
- 銅製船氏王後墓誌
- 藤原定家《熊野御幸記》
- 短刀 無銘正宗 名物日向正宗
- 短刀 無銘貞宗 名物徳善院貞宗
SOMPO美術館
SOMPO美術館(旧・東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館)は、日本初の高層階美術館として1976年に開館しました。東京都新宿区西新宿1-26-1。コレクションは、洋画家・東郷青児の遺族から寄贈を受けた作品345点から始まり、安田火災が創立100周年事業として購入した、ゴッホ《ひまわり》をはじめ、ルノワール、ゴーギャン、セザンヌなどの印象派とポスト印象派やアメリカの素朴派画家グランマ・モーゼスの作品などを受託し、さらに美術家の支援・表彰事業による買い上げ作品も加わって現在約630点となっています。ただしSOMPO美術館は企画展を中心に開催しており、常設展はありません。
【代表的な収蔵品】
- 東郷青児《超現実派の散歩》《ピエロ》など
- フィンセント・ファン・ゴッホ《ひまわり》
- ピエール=オーギュスト・ルノワール《帽子の娘》
- ポール・ゴーギャン《アリスカンの並木路、アルル》
- ポール・セザンヌ《りんごとナプキン》
アーティゾン美術館
アーティゾン美術館(旧・公益財団法人石橋財団ブリヂストン美術館)は、1952年に東京・京橋に新築したブリヂストンビルの2階に開設しました(2015年5月18日からビルの建替えに伴ない長期休館、2020年1月18日に再開館)。現在は23階建て高層ビル「ミュージアムタワー京橋」の4-6 階にあります。「ARTIZON」は、「ART」と「HORIZON」を組み合わせた造語です。収蔵品は古代美術、印象派、日本の近世美術、日本近代洋画、20世紀美術、そして現代美術にまで広がっています。
【代表的な収蔵品】
- カミーユ・コロー《ヴィル・ダヴレー》
- ピエール=オーギュスト・ルノワール《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》
- パブロ・ピカソ《腕を組んですわるサルタンバンク》
- ジャクソン・ポロック《Number 2, 1951》
- 青木繁《海の幸》
- 雪舟《四季山水図(春幅)》
- 中国 龍泉窯《青磁鉄斑文瓶(飛青磁花瓶)》
出光美術館
出光美術館は、昭和41年(1966)出光コレクションを展示する美術館として開館しました。東京都千代田区丸の内3-1-1。展示の中核をなすのは、日本の書画、中国・日本の陶磁器などの東洋古美術です。併設として、コレクションを代表するルオーの作品を紹介する専用展示室があるほか、アジア各国および中近東の陶片資料を集めた陶片室があります。
【代表的な収蔵品】
- 仙厓《坐禅蛙画賛》
- 伴大納言絵巻(国宝)
- 俵屋宗達《西行物語絵巻》(重要文化財)
- 酒井抱一《風神雷神図屏風》
- 古筆手鑑「見努世友」 (国宝)
- 本阿弥光悦《赤楽兎文香合》(重要文化財)
- ジョルジュ・ルオー《聖書の風景》
DIC川村記念美術館
DIC川村記念美術館は、1990年5月にDIC株式会社が関連企業とともに収集してきた美術品を公開する施設として開館しました。千葉県佐倉市坂戸631。20世紀美術をコレクションの中心としていますが、17世紀のレンブラントによる肖像画、モネやルノワールら印象派の絵画から、ピカソ、シャガールなどの西洋近代美術も所蔵しています。
【代表的な収蔵品】
- レンブラント《広つば帽を被った男》
- クロード・モネ《睡蓮》
- パブロ・ピカソ《肘掛椅子に座る女》
- マルク・シャガール《赤い太陽》
- カジミール・マレーヴィッチ《シュプレマティズム》
- ヴァシリー・カンディンスキー《無題》
- ルネ・マグリット《冒険の衣服》
- マーク・ロスコ 《無題》
- サイ・トゥオンブリー《無題》
- アンディ・ウォーホル《花》