数学の具体的な計算にMaximaを使って、数学もMaximaも同時に学んでしまいましょう。
今回はMaximaを使って n 次元球の体積と表面積を計算をしてみたいと思います。
Maximaのごく基本的な使い方については以下の記事を参照してください:
また、今回はGamma関数とBeta関数をガシガシ利用しますが、これらについては
を参考にしてみてください。
予備計算その1
ここで積分範囲 は
とします。よって の積分範囲を具体的に書くと、例えば
となります。まず 積分を実行すると
次にBeta関数の定義により、 積分は
と表せます。さらに、Beta関数とGamma関数の関係から
そしてGamma関数の性質 より
として公式が得られます。
さて、この計算をMaximaで実行させるには
kill(all)$ assume(a>1,b>1,x>0,y>0,x<1)$ Y:integrate(y^(b-1), y, 0, 1-x)$ X:integrate(x^(a-1)*Y, x, 0, 1);
と入力します。ただし、計算結果はBeta関数を使った形で出力されます。
予備計算その2
ここで積分範囲 は
とします。よって の積分範囲を具体的に書くと、例えば
となります。まず 積分を実行すると
次に 積分は と変数変換すると
と表せます。Beta関数の定義から
Beta関数とGamma関数の関係を使い、Gamma関数の性質を使うことにより
として公式を示せます。
予備計算その3
積分範囲は
です。上の場合と同様に逐次的に積分すればこの公式を示すことができます。
kill(all)$ assume(a>1,b>1,c>1,d>1,x>0,y>0,z>0,w>0,z+y+x<1,y+x<1,x<1)$ W:integrate(w^(d-1), w, 0, 1-x-y-z)$ Z:integrate(z^(c-1)*W, z, 0, 1-x-y)$ Y:integrate(y^(b-1)*Z, y, 0, 1-x)$ X:integrate(x^(a-1)*Y, x, 0, 1);
と入力して
を得ます。ここでBeta関数とGamma関数の関係式、Gamma関数の性質から上の公式を示せます。