Beta(ベータ)関数の定義からはじめて、いくつかの一見異なる積分表示を導きます。
Beta関数はまた第1種Euler積分ともよばれますが、
第2種Euler積分(Gamma関数)と密接に関係しています。
実際、Beta関数はGamma関数を用いて書き表せることを示します。
Beta関数とGamma関数を結び付ける関係式は、定積分の計算などに力を発揮します。
Gamma関数の基礎的事項については
にまとめています。
定義(Beta関数)
次の積分で定義された2つの引数をもつ関数をBeta関数といいます:
また という変数変換をすることで
としても表すことができます。実際、
および
そして より で なので
となります。さらに、第3の積分表示として
という関係式もあります。実際、 と変数変換して
より、さいごはBeta関数の2つ目の積分表示を使って第3の積分表示を得ます。
Beta関数の性質
つまり、Beta関数の2つの引数は入れ替えることができます。
これはBeta関数の2つ目の積分表示で と変数変換することで示せます:
Beta関数とGamma関数の関係
Beta関数とGamma関数を結び付ける(応用上からも)重要な関係式として
があります。この関係式は以下のようにして示すことができます:
まずGamma関数を と変数変換した
と、同様に とした
の両辺を互いに掛け合わせて
とします。ここで変数変換
を考えます。ただし 積分が -平面の第1象限を覆っていたことから
となります。ここでBeta関数の第3の積分表示を使うと 積分は
であることがわかります。
そして 積分ですが、 とするとGamma関数であることがわかります:
以上より が成り立ち、関係式を得ます。
Wallis積分
Beta関数の定積分への応用の1例として次のWallis(ウォリス)積分について述べます:
ここで は自然数とします。
この関係式は以下のようにして示すことができます:
まずBeta関数の第3の積分表示から
です。この右辺に、上で求めたBeta関数とGamma関数の関係式を用います:
さいごに
で示した
により、 のとき
同様にして のとき
となります。