本記事ではGamma関数(第2種Euler積分ともよばれます)の定義から出発して、
Gaussの乗法公式とよばれるGamma関数の極限表示を示し、
さらにその乗法公式を使ってGamma関数の相反公式を示します。
相反公式は引数が半整数のときのGamma関数の値を求める手がかりになります。
定義(Gamma関数)
次の積分を変数 の関数とみなすとき、この関数のことをGamma(ガンマ)関数といいます:
Gamma関数の性質
Gamma関数は次のような特徴的な性質をもちます:
この関係式は次のように部分積分することで得られます:
とくに (自然数) とするとき、関係式を逐次的に用いて
がわかります。ここで
より、結局
となります。よってGamma関数は階乗の非整数への一般化だと思えます。
Gaussの乗法公式
Gamma関数を極限によって定義する次の表示
をGaussの乗法公式とよびます。
これはGamma関数の定義式で指数関数部分に極限形
を用い、積分の上端を とおいて としたときの極限として
Gamma関数を以下のように表すことで得られます:
ここで
です。実際、部分積分により
同様の計算を繰り返すことで
として示せます。
Gamma関数の相反公式
と を引数とするGamma関数同士の積は
の関係をみたします。この式をGamma関数の相反公式といいます。
公式で とすると
により
であることがわかります。さらにGamma関数の性質 から
などにより、一般の半整数におけるGamma関数の特殊値がわかります。
以下では、Gamma関数の相反公式の証明を見ていきます。
まず、本記事内では解説しないですが のFourier級数展開が
で与えられるという事実を用います。
ここで とすると より
この式の両辺に を掛け、 で割ると
となります。ただし の項を右辺から左辺に移項しました。
ここで が十分に小さいときに
と近似できることに注意すると
より の極限で
したがって
を得ます。
さいごにGaussの乗法公式から
最右辺に上で示した式を用いてGamma関数の相反公式が得られます。
キーワード:特殊関数、Gamma関数、Gaussの乗法公式、相反公式